ノキア、AT&Tと音声およびオートメーション分野で複数年の拡大契約を締結

　　ドイツの人工知能（ＡＩ）スタートアップ企業ノボＡＩを率いるヘマンス・マンダパティ氏は２週間前、利用している生成ＡＩを米オープンＡＩの「チャットＧＰＴ」から中国企業ディープシークのモデルにいち早く切り替えた。

ベンチャーキャピタリストの会議に参加するため訪れたスウェーデン南部ヨーテボリでインタビューに応じたマンダパティ氏は「オープンＡＩ（のモデル）を使ってアプリを構築していれば、簡単に他のモデルに移行できる。ほんの数分の作業だった」と語る。

ディープシークの出現はＡＩ業界の景色を変えつつある。各企業が従来に比べてごくわずかの費用で利用可能な技術を提供しているからだ。ロイターが取材したスタートアップ企業幹部や投資家は口をそろえてこうした見方を示した。

マンダパティ氏も、ディープシークのサービス利用料金は実勢の５分の１程度で、ノボＡＩとしては多額の資金を節約できたし、利用する側にとってはこれまでと何の違いもないと述べた。

米国勢に比べて資金調達面でハンディのあった欧州のスタートアップ企業は、最新のＡＩ技術の採用に後れを取ってきた。しかし複数の業界幹部は、ディープシークが状況を一変させる「ゲームチェンジャー」になり得ると期待を寄せる。

ディープシークのモデルを早速採用した英企業ネットマインド・ドットＡＩのシーナ・レジャル最高商業責任者は「ＡＩの民主化と、巨大テック企業との競争条件平等化に向けた大きな一歩を意味している」と語った。

バーンスタインのアナリストチームの試算に基づくと、ディープシークのモデルの利用料金はオープンＡＩの同等製品の２０分の１から４０分の１に設定されている。

例えばオープンＡＩは１００万トークン当たりの料金が２．５ドルだが、ディープシークは現在、同じ基準で０．０１４ドルだ。

ディープシークについては、オープンＡＩのデータを不正に利用したのではないか、あるいは中国の印象を悪くするような回答を検閲で規制しているのではないか、といった疑念も出ている。

それでもベンチャーキャピタル企業ノースゾーンのパートナー、サンジョット・マルヒ氏は「ディープシークの企業としての未来を予測するのは難しいが、（業界の）構造的な影響はかなり広範囲に及んでいるように見受けられる」と指摘した。

＜業界への警鐘＞

調査会社ピッチブックのデータによると、昨年ベンチャーキャピタル企業によるＡＩ企業への投資額は米国が１０００億ドル弱だったのに対して、欧州は約１５８億ドルにとどまった。

今年１月２２日には、トランプ米大統領がソフトバンクグループ 、オープンＡＩ、オラクル による最大５０００億ドル規模のＡＩインフラ向け投資プロジェクト「スターゲート」を発表したばかりだ。

一方で欧州におけるＡＩ投資は比較的低調な状況にある。

オープンＡＩやメタ 、アンソロピック、グーグルといった米国勢が並ぶ支配的な基盤モデルの市場で、欧州勢ではかろうじてフランスのミルストラルだけが名を連ねている。

そこにディープシークが登場して注目を集めた。１月に公表した論文で、同社の大規模言語モデル「Ｖ３」の学習に際して、エヌビディアのそれほど先端的でない半導体「Ｈ８００」を使って費やしたのは６００万ドル弱だったと明らかにしたためだ。それ以降、ディープシークのアプリはアップルのアプリストアのダウンロード数ランキングでチャットＧＰＴを抜いて首位に立っている。

アクセレラＡＩのファブリツィオ・デルマフェオ最高経営責任者（ＣＥＯ）は「これは大きさの追求が常に好ましいとは限らないという警鐘だ。モデル作成の実現度が誰にとっても高まり、所有の総費用と革新的技術構築の障壁が下がって業界全体に作用する可能性がある」と述べた。

ディープシークの学習費用が本当に同社の主張するほど安いかどうか疑問はあるが、米国勢のモデルと比較すれば安い、というのが専門家の一致した見解だ。

デンマークのエンパティクＡＩのＣＥＯを務めるウルリック・Ｒ－Ｔ氏は「ディープシークはわれわれのような企業にとって計り知れないほどの機会（を与えてくれる存在）だとみている。われわれのビジョンを達成する上で膨大な予算が必要ないことが分かった」と語った。

＜コストか安全性か＞

ディープシーク出現を受け、既に価格競争が始まっている。

マイクロソフト は先週、オープンＡＩの推論モデル「ｏ１」について、毎月２０ドルのところ「Ｃｏｐｉｌｏｔ」利用者に無料で提供すると発表した。

スケール・キャピタルのヨアヒム・シェルデ氏は「価格下落に伴って、今後の利用はオープンソースが通常となる透明性の高い分野に向かう。たとえそこが中国であっても」と話す。

ただフィンランドのノキア 、ドイツのＳＡＰ といった大手企業は安価なモデルへの切り替えに対してより慎重だ。

英シンセシア幹部のアレクサンドル・ボイカ氏は「コストは一つの要因に過ぎない」と述べ、自社がシステムを運用する上で完全に安全性が保たれるのかという別の要因があると付け加えた。

ソフトバンクグループ の孫正義CEOは月曜日、オープンＡＩのサム・アルトマンCEOと、企業顧客に人工知能サービスを提供する合弁会社を日本で設立することで合意したと発表した。

日本の投資大手はまた、ソフトバンクグループ全体でオープンＡＩの技術を利用するために年間30億ドルを支払う予定だ。

合弁会社のSB オープンＡＩ Japanは、オープンＡＩとソフトバンクとその国内通信部門が設立した会社が所有する。

(link) ロイターは先週、ソフトバンクがオープンAIに150億ドルから250億ドルの投資を検討していると報じた。

ソフトバンクはまた、オープンAIとオラクル とのジョイントベンチャーであるスターゲイト（Stargate）にも150億ドルを出資し、米国でAI能力を構築するとロイターは報じている。

先月行われたスターゲートの立ち上げでは、孫社長が11月の大統領選以来2度目となるドナルド・トランプ氏との対面を果たした。

孫氏のオープンＡＩへの支援は、ソフトバンクの技術ポートフォリオの価値低下と一連の注目度の高いつまずきに端を発した縮小の時期を経て、投資勢力として再浮上したことを反映している。

ソフトバンクは2008年にiPhoneを日本に持ち込むなど、米国でのハイテク企業との提携には長い歴史がある。

ドイツのスタートアップNovo AIのボスであるHemanth Mandapati氏は、2週間前にオープンＡＩのチャットＧＰＴから中国のAIモデルに切り替えたとき、DeepSeekチャットボットをいち早く採用した。

「オープンＡＩを使用してアプリケーションを構築した場合、他のものに簡単に移行することができます...切り替えるのに数分かかりました」と彼はスウェーデンのヨーテボリで開催されたベンチャーキャピタル向けのGoWest会議の傍らでインタビューに答えた。

十数社の新興企業幹部や投資家へのインタビューによると、ディープシークの登場は、企業がわずかなコストで技術を利用できるようにし、AIの展望を変えようとしている。また、ディープシークは、他のAI企業にモデルの改良を促し、価格を引き下げる可能性も秘めている。

「ディープシークからは、実際の価格より5倍も安いオファーがありました」とマンダパティは言う。「私は大金を節約しているのに、ユーザーは何の違いも感じていない。

ヨーロッパのハイテク新興企業は、資金調達が容易なアメリカのライバル企業と同じペースで新技術を導入するのに苦労していた。しかし幹部たちは、DeepSeekはゲームチェンジャーになりうると言う。

DeepSeekをいち早く採用したイギリスのNetMind.AIのチーフ・コマーシャル・オフィサーであるシーナ・レジャルは、「DeepSeekはAIを民主化し、ビッグ・テックとの競争条件を公平にする上で、大きな前進となる」と語った。

バーンスタインのアナリストは、DeepSeekの価格設定はオープンＡＩの同等モデルより20～40倍安いと見積もっている。

オープンＡＩは、AIモデルによって処理されるデータの単位である入力トークン100万個に対して2.5ドルを課しているが、DeepSeekは現在、同じトークン数に対して0.014ドルを課している。

規制当局からは、ディープシークがオープンＡＩのデータをコピーしているのではないか、あるいは中国を悪者扱いするような回答を検閲しているのではないかという懸念が提起されている。現在、欧州各国で (link)。

ベンチャーキャピタルNorthzoneのパートナーであるサンジョット・マルヒ氏は、「ディープシークのビジネスとしての将来を予測するのは難しいが、構造的な影響はかなり広範に及んでいるようだ」と述べた。

警鐘

PitchBookのデータによると、2024年にベンチャーキャピタルがAI企業に投資した金額は、ヨーロッパが約158億ドルであるのに対し、アメリカでは1000億ドル近くにのぼる。

ちょうど1月22日、ドナルド・トランプ米大統領は、オープンAI、ソフトバンク 、オラクル が支援するジョイントベンチャー、スターゲイトと呼ばれる5000億ドルのAIプロジェクト（(link)）を発表した。

ヨーロッパでの投資はもっと控えめだ。

オープンＡＩ、Meta 、Anthropic、Google のような企業が上位を占める基盤モデルのリストの中で、フランスのMistralだけが特徴的だ。

中国のDeepSeekは先月の論文で、DeepSeek-V3の学習に必要なNvidia H800チップのコンピューティングパワーは600万ドル以下（(link)）であると発表し、注目を集めた。以来、このアプリケーションはチャットＧＰＴを抜き、アップルのApp Storeで入手可能な生産性アプリケーションの中でトップの評価を得ている。

「アクセラAIのファブリツィオ・デル・マフェオ最高経営責任者（CEO）は、「これは、大きければ良いというものではないという警鐘です。"モデルを誰もが手に入れやすくすることで、総所有コストと革新的な技術を構築するための障壁が下がり、業界全体の起爆剤となり得る"

アナリストの中には、DeepSeekのトレーニングコストが同社が言うほど低いかどうか疑っている者もいるが、同等のアメリカのモデルよりも低いという点では同意している。

「デンマークのEmpatik AI社CEOのUlrik R-T氏は、「DeepSeekは我々のような企業にとって非常に大きなチャンスだと思います。「我々のビジョンを達成するのに莫大な予算は必要ないことを示したのです」。

コスト対安全性

価格競争はすでに始まっているかもしれない。

マイクロソフトは先週 、 (link) オープンＡＩのo1推論モデルを、通常の月額20ドルのサブスクリプション料金ではなく、すべてのCopilotユーザーに無料で提供した。

「AIの価格は下がっているので、今後の利用はおそらく透明性のあるところ、つまり中国であっても通常はオープンソースであるところに向かうだろう」とScale CapitalのJoachim Scheldeは述べた。

フィンランドのノキアからドイツのSAPまで、大企業は切り替えに慎重だ。

「コストはひとつの要因に過ぎません」と、最終評価額21億ドルのイギリスのシンセシアの企業責任者、アレクサンドル・ヴォイカは言う。「他の要因はこうだ：その他の要因としては、『セキュリティ認証、フレームワーク、企業が自社のプラットフォームを構築し、統合するためのソフトウェア・エコシステムがすべて揃っているかどうか』です」。

ソフトバンクグループ の孫正義CEOは月曜日、オープンＡＩのサム・アルトマンCEOと、企業顧客に人工知能サービスを提供する合弁会社を日本で設立することで合意したと発表した。

(link) ロイターは先週、ソフトバンクが150億ドルから250億ドルの投資を検討していると報じた。

ソフトバンクはまた、オープンAIとオラクル とのジョイントベンチャーであるスターゲイト（Stargate）にも150億ドルを出資し、米国でAI能力を構築するとロイターは報じている。

先月行われたStargateの立ち上げでは、孫社長が11月の大統領選以来2度目となるドナルド・トランプ氏との対面を果たした。

日本の石破茂首相は、今週予定されている会談で、まだトランプ氏と直接会っていない。

チャーター・コミュニケーションズ は金曜日、ブロードバンドプランにバンドル可能なモバイルサービスの加入者数が予想を上回ったため、四半期決算でウォール街の予想を上回った。

コネティカット州スタンフォードに本社を置く同社の株価は、市場前の取引で3.4％上昇した。

チャーターは、ブロードバンド・プランに高速モバイル・アクセスをバンドルできる、スペクトラム・インターネット顧客専用のスペクトラム・モバイル・サービスへの需要が高まっている。

AT&T やベライゾン など通信大手数社は、インターネットとモバイル・サービスを統合したバンドル・サービスを通じて顧客維持を強化し、市場シェアを拡大するため、サービスの統合を選択している。

チャーターは9月、携帯電話2回線またはケーブルテレビとセットで、月額30ドルで毎秒500メガバイトのインターネット速度を提供する「スペクトラム・ワン」プランを発表した（(link)）。

第4四半期に同社が追加したモバイル回線数は52万9,000回線で、Visible Alpha社が予想した52万190回線を上回った。

LSEGがまとめたデータによると、ブロードバンドとケーブルTVのプロバイダーである同社は、報告された四半期に住宅用モバイルサービス収入が37.4％増加し、総収入がアナリストの平均予想138.8億ドルを上回り、約2％増の139.3億ドルになったと述べた。

ビジブル・アルファ社によると、チャーターは当四半期に17万7000件のインターネット顧客を失い、予想の15万6880件を上回った。

この損失は主に、米国の低所得世帯にインターネット接続を提供する連邦補助金、Affordable Connectivity Program(ACP) の終了と、ハリケーン「ミルトン」と「ヘリーン」の影響によるもの。

チャーターは12月31日に終了した四半期の1株当たり利益は10.10ドルで、予想の9.36ドルを上回った。

2025年通年の設備投資額は、LSEGの予想120.9億ドルに対し、同社は約120億ドルと予想している。

ソフトバンクは、オープンＡＩの資金調達ラウンドを最大400億ドル、ポストマネーバリュエーションで3,000億ドルで主導する方向で交渉していると、情報筋がReutersに語った。

ソフトバンクは、オープンＡＩのプレマネー評価額、つまり今回のラウンドの資金調達なしの評価額を2600億ドルとするタームシートを提示した。これは、チャットＧＰＴメーカーにとって、最後に1500億ドルと評価された数ヶ月前からのジャンプを意味する、と非公開の事柄を議論するために匿名を要求した情報筋は付け加えた。

オープンＡＩとソフトバンクはコメントを拒否した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は木曜日、オープンAIがソフトバンクと約400億ドルの投資ラウンドについて交渉していると報じた。

ソフトバンク はマイクロソフト を支援するオープンＡＩに150億ドルから250億ドル（(link)）を直接投資する可能性があり、その一部はオープンＡＩのStargateへのコミットメントの支払いに充てられるかもしれない、と情報筋の一人は付け加えた。

オラクル 、オープンＡＩ、ソフトバンクの合弁会社であるStargateは、米国が世界のAI競争で中国や他のライバルの先を行くために、最大5000億ドルを投資する計画だ。

ソフトバンクの投資は、すでにスターゲイトにコミットしている150億ドルに上乗せされることになると、この関係者は述べ、協議は初期段階にあると付け加えた。